眼球上転とは、眼球が上方に偏位する身体症状で、いわゆる白目をむいた状態。統合失調症、てんかん、薬物による影響(薬剤性ジストニア)、脳血管障害、脳腫瘍、小児では熱性痙攣などが原因で起こる。
抗精神病薬による眼球上転(ジストニア症状の一つ)は、ドーパミンの働きが過剰に抑制されることで出現する。薬の副作用に対する治療には、薬剤の使用中止や処方の変更、あるいはGABA受容体作動薬、カルシウム拮抗薬、抗コリン薬などの追加投与が検討される。薬剤性ジストニアは、抗うつ薬や抗てんかん薬のほかに、制吐剤などの消化器用薬で引き起こされることもある。
監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)