プライマリヘルスケア
ぷらいまりへるすけあ
プライマリヘルスケア(PHC:Primary Health Care)は、1978年9月にWHOとユニセフの共催でアルマ・アタで開催された「プライマリヘルスケアに関する国際会議」において設定された、「Health for All by the Year 2000」宣言を達成するための戦略である。
健康は全ての人にとって基本的人権である。プライマリヘルスケアは現実的で科学的妥当性があり社会的に許容可能な方法論と技術に基づいた、地域に住む個人や家族にあまねく受け入れられる普遍的にアクセス可能な基本的保健ケアであり、自己決定の精神に基づく住民の積極的参加と、それぞれの国で持続的にまかなえる費用で運営されるものである。また、プライマリヘルスケアの活動は保健システムのみならず地域全般の社会・経済開発など、各国の発展の全てのステージにおいて必須部分を構成するものである。プライマリヘルスケアの5原則は、①ニード指向性、②資源の有効活用、③適正技術の使用、④住民の主体的参加、⑤他のセクター(農業、教育、通信、建設、水など)との協調、統合、である。また、具体的な活動項目には、①健康教育(ヘルス・プロモーション)、②食料確保と適切な栄養、③安全な飲み水と基本的な環境衛生、④母子保健と家族計画、⑤予防接種を含む主要な感染症への対策、⑥地方風土病(流行病)への対策、⑦簡単な病気や怪我の治療(プライマリ・ケア)、⑧必須医薬品の供給、がある。
WalshとWallen2)はアルマ・アタ宣言で唱えられた包括的プライマリヘルスケアと区別し、予防接種など特定の目的・目標を設定する選択的プライマリヘルスケア(Selective Primary Health Care)を提唱した。選択的プライマリヘルスケアは、包括的プライマリヘルスケアに比べ効率的であり、評価がしやすい、成果が見やすいなどの利点があるが、一時的な成果にとどまり、持続可能性が低く、トップダウン方式となり、医療的アプローチに近くなる。
また、開発途上国におけるプライマリヘルスケアは保健領域を中心としたものであるが、先進国におけるプライマリヘルスケアは0次医療とも言われ、家庭医・かかりつけ医などを基本とした医療の枠組の中で医療者が提供するサービスの一つである。
引用文献
1)日本WHO協会.アルマアタ宣言.https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter-2/alma-ata/
2)Walsh JA, Warren KS, Selective primary health care: an interim strategy for disease control in developing countries. NEJM.301:967-974,1979.
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