ケアリング
けありんぐ
ケアリング(caring)とは、1970年代の医学的治療(curing)に対抗する形で提唱されたとされている看護の中核的概念である。ケアリングの著者としては、ミルトン・メイヤロフ(Milton Mayeroff)やネル・ノディングズ(Nel Noddings)がおり、初めてケアリングという用語を用いて提唱したのは、メイヤロフであるといわれている。メイヤロフは、『ケアの本質』(On caring)という著書の中でケアリングを方法論と本質論の2つの視点で構成し、「一人の人格をケアすることは、最も深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである」1)と述べており、相手へのケアを通して自分の自己実現へとつながるという基本概念を説明している。また、1990年以降に文化的視点からMadeleine M Leiningerが、現象学視点からJean Watson・BennerやPatricia Bennerなどの多くの理論家がケアリングをそれぞれ提唱・発展させている。
日本看護協会は、ケアリングを「①対象者との相互的な関係性、関わり合い、②対象者の尊厳を守り大切にしようとする看護職の理想・理念・倫理的態度、③気づかいや配慮、が看護職の援助行動に示され、対象者に伝わり、それが対象者にとって何らかの意味(安らかさ、癒し、内省の促し、成長発達、危険の回避、健康状態の改善等)をもつという意味合いを含む。またケアされる人とケアする人の双方の人間的成長をもたらすことが強調されている用語である」2)と説明している。
このように、ケアリングは看護者と患者の関係性に関して述べている概念ではあるが、さまざまなレベルや視点から定義された複雑な概念であり、ケアリングに関する定義や統一的な解釈はなされていないとも言われている。
■引用文献:
1) ミルトン・メイヤロフ,田村真,向野宣之訳:ケアの本質—生きることの意味.ゆみる出版.1987.p.13.
2)日本看護協会:看護にかかわる主要な用語の解説.p.14.https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/yougokaisetu.pdf(2023年10月11日閲覧)
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